子どもを通わせるなら私立小学校と公立小学校どちらがおすすめ?
小学校から私立に通わせるという選択肢は、もはや富裕層だけのものだけではなくなってきています。長年の塾経営で、多くの子どもたちやその親の相談に乗り、子育てや学習環境についての著作経験もある筆者から見た、私立小学校と公立小学校のメリット、デメリットについて、わかりやすく紹介します。
私立小学校に子どもを通わせるメリット
もし私立小学校に通えるなら、環境や設備面で多くのメリットが存在します。
安定して整った学習環境
教員の質と量が確保され、安全にもよく配慮された学習環境は私立小学校の魅力といえるでしょう。公立小学校がすべてダメなわけではありませんが、地域や年によってムラが見られるのは事実です。
先端教育や施設の充実
私立小学校では、プログラミング学習や実戦的な英会話など、公立小学校よりさらに進んだ先端教育を用意していることが多くあります。
さらに、それらを実施する専用教室など、設備面でも充実させていることが多く、そうした点は保護者や子どもにとって大きな魅力となるでしょう。
私立小学校に子どもを通わせるデメリット
当然ながら、私立の小学校に通うには公立の小学校よりも追加の費用がかかります。そうした費用負担で家計が崩壊してしまえばデメリットですが、充実した教育環境で育つことにより、先々の塾費用などの教育費で得をする可能性もあるので、ここではデメリットとしては扱いません。
ただし費用面以外にも、私立小学校に通わせる上で、知っておきたいデメリットは存在します。
習い事やほかの課外活動の時間を作りにくい
私立小学校に通っていると、一般的に通学時間が長くかかるぶん、習い事などにかけられる時間は少なくなります。
習い事の試合やイベント、あるいは地域のイベントなども、地元の公立小学校や中学校の行事日程に配慮してくれることはよくありますが、私立小学校に通っていると、どうしてもそれらとはズレてしまい、合わせにくいといった声はよく聞かれます。
競争負けに注意
私立小学校は入試をクリアしなければならないため、やや早熟タイプの子が集まりやすい傾向があります。
そのためおっとりした性格の子や競争が苦手な子は、そして低学年のうちはとくに、周りとの競争に負けてしまってつらい思いをするなど、適切な心のケアが必要になる場合があります。精神面の発達を注意深く見守りましょう。
価値観が狭まる可能性がある
私立小学校の場合、それぞれの学校の教育方針に共感して受験を決めるのは保護者であり、その結果として似たような価値観をもつ家庭の子が集まりやすくなります。
もちろんこれはメリットととらえることもできますが、交友関係などにおいて価値観が狭まり、マイナスにもなる可能性を知っておきましょう。
公立小学校に子どもを通わせるメリット
日本の小学校の大半は公教育としての役割をじゅうぶんに果たしているので、公立小学校に通うメリットもあります。以下がその代表的な例です。
多様な価値観の中で育てられる
公立小学校には地域内のあらゆる家庭の子どもが通います。つまり子どもたちが育つのは、悪くいえば雑多な環境の中ということになります。
しかし、多様性への理解が進む現代社会で、幼少期に多様な価値観を知りながら育つことは、決してマイナスにはならないでしょう。
習い事やほかの課外活動の時間を作りやすい
地元の公立小学校に通えば、通学に時間を取られることはそれほどないため、習い事やほかの課外活動などの時間が持てます。また、スポーツ少年団や地域ごとのイベントなど、公立の小中学校と連動するようなものにも、参加しやすいのはメリットです。
公立小学校に子どもを通わせるデメリット
公立小学校のデメリットは、運営する自治体や地域、その時々の社会事情の影響を受けやすい点です。以下に挙げる例は、すべての公立小学校にいつも当てはまるわけではありませんが、注意すべき不確定要素として、デメリット扱いです。
地域の影響を受けやすい
公立小学校は運営する市町村の行政上の事情や、学区ごとの地域性などの影響を受けやすいです。具体的には、形骸化した地域行事への参加や地域の安全性などの問題が挙げられます。
時事的な影響も受けやすい
公立小学校では、コロナ対策や補充教員不足問題など、時事的な社会問題にすみやかに対応できず、混乱を招いてしまう例が後を絶ちません。
学力的に物足りなくなる
公立小学校の学習範囲では、子どもによっては能力的に物足りなく感じることもあります。主に高学年以降になって表面化しますが、もしそうした場合には塾や習い事で補ってあげるしかありません。
まとめ
私立小学校と公立小学校、それぞれのメリットやデメリットを解説しました。子どもを通わせるならどちらがおすすめかといわれると、その子の特性や地域などの条件が無限にあり、答えは出せません。
しかし、もしあなたがこうしたことについて迷っている立場であるならば、ここで紹介したメリット、デメリットは大きなヒントとなるでしょう。もっとも大切なことは、わが子の様子や周囲の環境をよく観察し、本人と一番良い学校を話し合うことでしょう。